, Hisayoshi Muramatsu
概要
本研究紹介は村松らが提案した移動型四腕ロボット:ARMS[1]について紹介する.より詳細に興味がある場合は参考文献[1]を読んでいただきたい.
まずは以下に,動画とともに概要を説明する. 本研究は整地に適した車輪移動能力・不整地に適した三脚車輪移動能力・四腕による把持操りの複合能力を有する移動型四腕ロボット:ARMSを開発した. 動画の通り,ARMSはこれまで三脚車輪移動・車輪移動・車輪走行中の把持・カバン運搬のタスクを実現してきた.
機構
ARMSは図1のような駆動輪付き11軸移動型四腕ロボットである.本ロボットは,先端に駆動車輪が取り付けられた3自由度の前腕,2つの直列弾性を有する3自由度後腕,背面の2自由度上腕を有する.2つの後腕は歩行移動および物体の把持・操りの双方に利用され,上腕のエンドエフェクタは他腕との協調によって位置および姿勢を決定する.さらに胴体下部には駆動しない受動車輪が2つ取り付けられており,歩行中の胴体支持および車輪走行に利用される.
図1.ARMSの三脚車輪移動姿勢.
ARMSは図1のような駆動車輪付き前腕および後腕を用いた三脚車輪歩行のみならず,図2のような駆動車輪付き前腕および胴体付きの受動車輪を用いた車輪走行・車輪走行中の把持・前後腕による立ち上がりが可能である. これらより,ARMSが脚移動および車輪移動を融合したハイブリッドモビリティを有しており,ARMSの腕は移動および把持等の複数目的に利用可能な汎用腕であることが分かる.
図2.ARMSの車輪移動・車輪移動&把持・立ち上がり姿勢.
制御
ARMSの制御アルゴリズムは図3のように構成されている.まず,ARMSの各腕および駆動車輪の動作を生成し,逆運動学により各関節の角度指令を決定する.その後,軌跡修正アルゴリズムを通して,設定した角度制約・角速度制約・角加速度制約(ロボットの機械的制約)を満たすように角度指令を角度参照値へと修正する.その後,トルク飽和を考慮した角度制御:プロクシベースド・スライディングモード制御器によりモータトルクを計算する.なお,各腕の先端位置はエンコーダ情報および順運動学から得られる.
図3.制御システム
まとめ
移動型四腕ロボット:ARMS[1]について紹介した.本ロボットは脚車輪によるハイブリッドモビリティおよび複数の汎用腕を有している.さらに,脚移動が最低限かつ安定な3脚により実現されており,汎用腕および3脚移動はロボットのモータ数および重量の低減に貢献している.なお,本ロボットは未だ試作段階であり,今後も研究開発を継続していく.そして将来的に,本ロボットは人命救助,災害復旧,そして建設現場における作業の自動化および安全化に寄与することが期待される.
謝辞
本研究は2022年度において競輪(JKA 補助事業)の補助を受け実施したものである.
参考文献
[1] Hisayoshi Muramatsu, Keigo Kitagawa, Jun Watanabe, and Ryohei Hisashiki, “A Mobile Quad-Arm Robot ARMS: Wheel-Legged Tripedal Mobility and Quad-Arm Manipulation,” arXiv, arXiv:2305.01406, May 2023.
[arXiv (Open Access)],BibTex
@misc{muramatsu2023mobile,title={A Mobile Quad-Arm Robot ARMS: Wheel-Legged Tripedal Mobility and Quad-Arm Manipulation},
author={Hisayoshi Muramatsu and Keigo Kitagawa and Jun Watanabe and Ryohei Hisashiki},
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